ツールドフランスを7連覇したランスアームストロングのドーピング問題を描いたドキュメンタリー映画「疑惑のチャンピオン」を観ました。
面白い映画だったのですが、もやっとしたものが残る作品でした。
私自身、ロードバイクが趣味ですので、一般目線からとは少し違う見方になってかもしれません。
ネタバレが含まれていますので、まだ見ていない人はご注意ください。
■あらすじ
ツールドフランスを7連覇したランスアームストロング。20代にガンを患い死の淵をさまようも、奇跡的な回復力を見せる。復帰後から連戦連勝でツールドフランスを前人未到の7連覇を成し遂げ、ガン患者救済の慈善事業に精力的に取り組み、英雄となっていた。しかし、勝利の理由はドーピング。ドーピングの事実はどのようにあきらかになかったのか?真実が明らかになる・・・
ロードバイク乗りならずとも、だれも知るツールドフランスで実際に起こったドーピング問題を題材としたドキュメンタリー映画です。
ロードバイク乗りにしかわからないであろう、細かなこだわりが見て取れました。
例えばレーパン焼け、ロードバイクに乗る際には体にぴったりと張り付くサイクルジャージを切るのですが、ハーフパンツタイプ(ビブショーツなどといいます)のレーシングパンツをはくと太ももにクッキリと日焼けの跡が付きます。
実際に焼いたのか、ランスアームストロングを演じるベンフォスターのふとももにレーパン焼けの跡がありましたw
冒頭に流れるナレーション。
体力じゃない、才能じゃない、心さ
勝ったためにはハートが大切、根性さ
確かこんな感じのこと言うのですが、ロードバイクに乗っているとその通り!と思うのです。
これはロードバイクだけでなく、どんなことも、何より負けない心が大切なのです。
アームストロングがガンを克服してロードバイクに挑戦する様、ドーピングに手を染めて勝利を得るまでのプロセス。
検査を潜り抜ける為に工夫。ガン救済を盾にし、UCIへの賄賂を駆使し、ドーピング疑惑と戦くを様子をうまくとっています。
全体を通してテンポよく進めるので、飽きないですし、面白い映画です。
ただ、何だかしっくりこないのです。
ランスアームストロングがなぜ、そこまで勝利の執念に飢えているのか、ドーピングと言う不正まで行ってなぜ勝ちたかったのか。
ドーピングを行った理由の核心となるランスの気持ちが伝わってこないんですね。
これは監督の力量などではなく、ランス本人への取材が出来なかったからだと思います。
もしくは、本人にインタビュー方式ででもカメラを回してなぜドーピングを行ったのか、動機や、勝利への思いを聞いてほしかったですね。
当然、本人に出演依頼をしても受けてくれると思えないので、無理なことなのですが・・・。
役者の演技力、脚本、カメラワーク、演出など最高のデキにも関わらず、この確信がぼやけているので、なんとも釈然としない映画にまとまってしまっています。
いつかランスの口より、詳細を語られて、映画の撮り直しがあるなら、見てみたいですね。